19-03;神経解剖学
海馬
・記憶の形成に重要な役割を果たす。記憶は海馬で一時的に保存された後、大脳新皮質
(側頭葉など)へ送られ長期的に保存されると考えられている。
・Papezの回路
海馬→脳弓→乳頭体→視床前核→帯状回→帯状束→海馬傍回→海馬を巡るループ回路
記憶の形成に関わるとされる
(記憶;記銘・保持・想起の3つの過程からなる)
・脳弓は海馬の出力線維である。
・海馬が障害されると記憶障害が起こるが、昔の記憶は消失しない。海馬はおそらく短期
記憶の場であり、長期記憶は海馬以外の部位たとえば連合野に蓄えられている。
視床
・意識できる感覚のうち、嗅覚系以外のすべての感覚を大脳皮質に中継する。運動の制御
や上行性網様体賦活系の中継核として働く。
・外側膝状体は視覚、内側膝状体は聴覚の中継核
温痛覚の伝導路
・後角で二次ニューロンとなり、白交連を通り対側に至り、側索の外側で外側脊髄視床路
となって上行し、視床の後外側腹側核(VPL)に終わる。そこで三次ニューロンとなり、
内包の後脚を通って、大脳皮質の体性感覚野に達する。
非識別型の触・圧覚(原始的な感覚)
・後角で二次ニューロンとなり、白交連を通り前索に達し、前脊髄視床路を上行する。
視床の後外側腹側核で三次ニューロンに接続。
識別型の触覚
・直ちに後索を上行し延髄に向かう(下肢からの線維は薄束、上肢からの線維は楔状束)
延髄の後索核で二次ニューロンとなり、対側の交叉し(毛帯交叉)、内側毛帯をつくり
上行し、視床の後外側腹側核で三次ニューロンに接続。
視床核の種類
1) 前核;乳頭視床束を受け、帯状回に線維を送る
2) 内側核;視床下部・前頭葉と連絡し、情動などに関与する。
3) 外側核;髄板の外側の核群
背側核;他の視床核から線維を受け、皮質連合野と連絡する。
腹側核
前腹側核;淡蒼球から線維を受け、運動野・運動前野へ
外側腹側核;小脳から線維を受け、運動野・運動前野へ
後外側腹側核;体肢の体性感覚を受け、体性感覚野へ
後内側腹側核;頭部の体性感覚を受け、体性感覚野へ
4) 後核(視床枕);視覚、聴覚、体性感覚に関与する。
5) 外側膝状体;視覚路の中継核
6) 内側膝状体;聴覚路の中継核
視床下部
・視床とは視床下溝によって境される。
・自律神経系の中枢;体温調節、浸透圧調節、摂食行動など
(視交叉上核はサーカディアンリズムの発振器である)
内分泌系の中枢;下垂体前葉ホルモン調節因子の分泌 下垂体後葉ホルモンの分泌
(前葉ホルモンは、下垂体門脈系を介して輸送される視床下部ホルモンにより調節)
(後葉ホルモン[パゾプレシン、オキシトシン]は視床下部で産生され、下垂体茎を
経由して後葉に貯蔵。必要に応じて末梢血中に分泌される)
(視索上核と室傍核)
大脳辺縁系との連絡;感情形成
基底核
・随意運動の調節などに関与
(錐体外路;骨格筋の運動や緊張、筋群の協調運動などを反射的、不随意的に支配する
神経路。線条体や淡蒼球、中脳の赤核・黒質、中脳橋延髄の網様体、延髄
のオリーブ核などが属する)
・構成;淡蒼球(内節、外節)、被殻、尾状核
(広義には 中脳の黒質や 間脳の視床下核を含める)
(レンズ核=被殻+淡蒼球 線条体=被殻+尾状核)
線条体;被殻は尾状核と同じ性質の神経細胞からなり、断面が多数の線条を呈する
(内包を構成する線条が多数横切る)ので、尾状核と被殻を合わせて線条体
という(新線条体)。
被殻
・やや赤褐色を示す
尾状核
・視床の前方から背外側をまわり、さらに側脳室の内側上方を通って、視床をC字状
に取り囲むように位置する。頭・体・尾の3部に分ける。
淡蒼球
・有髄線維に富むために淡い色調を示す。
・系統発生学的に古く古線条体とも呼ばれ、間脳に由来すると言われる。
構成
・主経路;運動野→線条体→淡蒼球→視床前腹側核(VA)と外側腹側核(VL)→運動野
・副経路1;線条体と中脳黒質の間
(黒質線条体路で、黒質ニューロンはドパミンを神経伝達物質とする)
・副経路2;淡蒼球と視床下核の間(視床下束)
(視床下核の障害でバリスムスが起きる)
・病変;不随意運動が起こる
1) 舞踏病;運動麻痺はなく随意運動を行う際に不随意に突発連続して起こる運動
顔面、口唇、舌、四肢末端にみられ、顔をしかめたり指を曲げ伸ばし。
;線条体(尾状核)に細胞の脱落や萎縮
2) アテトーゼ型脳性麻痺;四肢末梢に始まり比較的緩やかな運動も、真似できない
過度の伸展や奇妙な姿勢
;線条体や淡蒼球の外節に病変
3) パーキンソン病;表情が乏しい仮面用顔貌。身体が前傾。歩幅狭い小刻み歩行
;黒質または淡蒼球の病変が主